古くは、自在に姿を変化させることができ、可視にも不可視にも思いのままになれるといわれ、春分になれば天に昇り、秋分になれば下って淵に入るとされた。
このようにつかみどころの無かった龍の姿も時代を経ると次第に固まっていき、「頭はラクダ、角はシカ、眼は鬼(一説にウサギ)、耳はウシ、うなじはヘビ、腹は蜃、鱗はコイ、爪はタカ、手はトラに似る」(後漢の文人、王符の説)というようなものになっていった。これを「九似」という。
また龍のプロポーションについては、首から腕の付け根までの長さと、腕の付け根から腰までの長さ、腰から尾までの長さがそれぞれ等しいとされ、これを「三停」と呼んだ。
古来画家は龍を描く場合、この「九似三停」の説によった。
それ以外の特徴として、鱗の数は81枚で、声は銅盤を打ち鳴らしたよう、頬と顎にひげがあり、顎の下には輝く玉を、喉には逆鱗(げきりん:逆さに生えた鱗)を持つといわれる。
そのほか、頭上には尺木(せきぼく)なるでっぱりがあり、これを持たない龍は空を飛べないとされた。
また、龍には色々なタイプがあるとの説も生まれ、天龍、神龍、伏蔵龍、応龍、蛟龍など多くの龍が考えられた。
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