日本の民話や昔話に登場する川の妖怪。ときに陸に上がって人や動物に悪さをするといわれる。

身長は人間の子供ぐらいで、体の色は褐色や緑色、灰色など。頭のてっぺんには水が入ったくぼみ（皿）があり、この水がなければ河童は力が出ないという。

手足には水かきのついた指が3本づつ。左右の腕はつながっていて、一方を伸ばすと他方がちぢむなどと言われる。地方によっては背中や腹に甲羅があるともいう。

ふつうキュウリと尻子玉（しりこだま）が好物とされるが、福岡県の柳川では”河童はキュウリを嫌う”といわれ、キュウリが河童除けに用いられるという。

河童は相撲をとるのが好きだといわれるが、相手の人間をその怪力で水中に引き込むともいう。また、水辺に近付いた馬なども引きずり込むとされ、恐れられた。

しかしこれら邪悪な性質以外に、お人好しの部分もあり、罪ほろぼしとして人間に秘薬を授けたなどという民話も各地に伝わっている。

河童の特徴には、サルやカメ、スッポン、イタチなどの動物の要素が取り込まれ、入り混じっているようだ。河童と同じような俗信をもつ動物を挙げれば、

【テナガザル】　もともと中国ではテナガザルの腕について、河童と同様の俗信があったという。

【カワウソ】　カワウソが馬を川に引きずり込むという説話などがあり、河童とカワウソが混同された例と思われる。

【カメ（スッポン）】　河童はカメやスッポンの化したものとの説があり、そのため背や腹に甲羅があるのだといわれる。

などがある。

現代の日本でも河童と思われるものが目撃され、それらしき痕跡が残されるという事例がある。もちろんこれが河童だったとする確かな証拠もないが、想像力を刺激される話ではある。

日本各地には、河童のミイラといわれる物が伝えられているが、これらはおそらく他の動物によって作られたものがほとんどであろう。（敢えて全てとは言わない）