西洋では家畜を襲うため嫌われたオオカミだが、日本では古くから作物を食い荒らすイノシシやシカを退治する農耕の守護者として、「大口の真神(おおくちのまがみ)」などと称されて崇められてきた。
しかし次第に数を減らしていき、1905年に奈良県で捕まった1頭を最後に絶滅してしまった。絶滅の原因としては、輸入されたイヌからジステンパーが流行した事、エサとなるシカが減少した事、などが挙げられている。
また文献によれば、1732年(享保17)頃に狂犬病が流行したといい、この時ニホンオオカミのあいだにも広がったと考えられている。病気のオオカミが人間を襲うケースが次第に増えていき、それまでの神格は徐々に失われていった。
1900年頃には日本中のオオカミに病気が蔓延していたものと推察される。
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