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八岐大蛇(やまたのをろち)

1.恐るべき巨体

2.尾から現れた剣(つるぎ)

3.紙幣に印刷された大蛇退治

1.恐るべき巨体

八俣大蛇、八俣遠呂智とも書く。日本の神話に登場し、出雲国肥河(ひのかわ)の上流に棲んでいたとされる大蛇のこと。

その大きさはケタ外れで、八つの谷、八つの山にわたるといわれた。そしてその大きな体には八つの頭と八つの尾があり、目はホオズキのように赤く、全身にコケやヒノキ、スギが生えていて、腹部にはいつも血が滴っていたという。

足名椎(あしなづち)と手名椎(てなづち)という老夫婦は、この大蛇に娘を毎年1人づつさらわれ、8人いた娘はついに櫛名田比売(くしなだひめ)1人を残すのみとなっていた。老夫婦と出会った素戔鳴尊は、大蛇退治を見事に成功させ、櫛名田比売と結婚した。

この大蛇とは自然を象徴するもので、娘がさらわれるという部分はそれに対する生け贄信仰を表していると考えることもできるだろう。


2.尾から現れた剣(つるぎ)

素戔鳴尊は酒で大蛇を酔わせ、眠り込んだ隙に十拳剣(とつかのつるぎ)で斬りつけるという作戦で退治を成功させた。

この時大蛇の体から流れ出た血によって、肥河は真っ赤に染まったという。

そして大蛇の尾を斬りつけたところ、そこから剣が見つかったという。この剣は、大蛇がいるところ常に雲があったことから天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)と呼ばれた。

天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)は天照大神に献じられ、のちに草薙剣(くさなぎのつるぎ)と名を変えて、天皇家・三種の神器のうちの一つとなる。


3.紙幣に印刷された大蛇退治

八岐大蛇は日本の紙幣の図柄として採用されたことがある。その紙幣は第15国立銀行紙幣弐円券で、表右側に素戔鳴尊、表左側に大蛇退治の図が印刷されている。