猩猩とは、中国の古文献にみられる山中深くに暮らす珍獣のことである。『本草綱目』によれば、その姿は人間に似て、黄髪に裸、裸足で体色は白だとされる。
また二本足で立って歩き、雌ばかりの集団で山野を移動し、男に会えば交接を求める、という生態が紹介されている。
そのほか『博物誌』では、生息地を日南国(ベトナム南部にあった国)と記しており、オランウータンなどを指していた可能性も大きい。
オランウータンは古くは好色な動物と思われていたらしく、ギリシア神話の好色な神サテュロスにちなみ、シミア・サテュルス(サルのサテュルス)と呼ばれていたという。日本でも狒狒と猩猩を混同し、好色な人物を「狒狒親爺」などと言った。
右の図は『山海経』の猩猩である。
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