ロックという空想上の鳥は、マダガスカル島に実在したエピオルニスという巨鳥の話が誇張されて伝わるうちに出来上がったものではないかとも考えられている。
アラビア人の探検家たちは古くからマダガスカル島を「月の島」として知っており、当然そこに棲むエピオルニスのことも見ていた。そのため、船乗り達の土産話から「巨大な鳥」の噂が広まったというのである。
この説に符合する話を、かのマルコ・ポーロが伝えている。1271年にアジア旅行に出たベネチアの商人ニコロ・ポーロとその息子マルコは、1294年に「マガスタル島」に立ち寄り、そこで巨鳥の話を聞いたという。その鳥は、「翼を広げると昼でも暗くなり」、「下が一年中日陰になるほどの巨木に巣を作り」、「怒ると一蹴りでウシをも殺す」という。そしてマルコは、この鳥のものとされる、長さ1メートル以上もある羽根を一枚贈られたという。
この羽根は乾燥させたバショウの葉であったことが後に判明するが、マルコが立ち寄った「マガスタル島」がマダガスカル島だった可能性は高いと考えられている。となれば、そこで語られたという巨鳥のモデルはやはりエピオルニスだったと考えるのは自然なことかも知れない。
(飛べない鳥だったエピオルニスがロックのモデルというのは、若干違和感を感じないでもないが・・・)
|