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ロック

1.ゾウをも捕らえる巨鳥

2.『アラビアンナイトのロック

3.ロックはマダガスカル島にいた!?

1.ゾウをも捕らえる巨鳥

アラビア=ペルシア地方の伝説に登場する巨大な鳥。インドに棲むとされ、王侯を背の輿に乗せて空を飛んだという。

その巨大さは桁外れで、この鳥のヒナですら、親から餌としてインドゾウを与えられて育つといわれるほどである。

獲物を足で捕らえて空を飛ぶことなどから、猛禽類に属する鳥であろうと思われる。

この鳥は、単純にアラビアの人々が巨大な猛禽類を空想したものかもしれないが、一説には現在絶滅してしまったエピオルニスという巨鳥が話のもとになっているともいう。


2.『アラビアンナイト』のロック

アラビアンナイト』でのロックは、船乗りシンドバッドの第二の航海に登場する。

インド洋上の小島に一人取り残されたシンドバッドは、そこで白く巨大な球形の家を見つける。そしてしばらくすると、あたりが真っ暗になるほどの巨大な鳥が空から舞い降りてきたという。

この鳥がロックであり、シンドバッドが見つけた家というのがロックの卵だった。シンドバッドは、ロックの大きな足に自分の体を縛りつけてそこから脱出したという。(そしてダイヤモンドの谷へ下ろされる事になる)


3.ロックはマダガスカル島にいた!?

ロックという空想上の鳥は、マダガスカル島に実在したエピオルニスという巨鳥の話が誇張されて伝わるうちに出来上がったものではないかとも考えられている。

アラビア人の探検家たちは古くからマダガスカル島を「月の島」として知っており、当然そこに棲むエピオルニスのことも見ていた。そのため、船乗り達の土産話から「巨大な鳥」の噂が広まったというのである。

この説に符合する話を、かのマルコ・ポーロが伝えている。1271年にアジア旅行に出たベネチアの商人ニコロ・ポーロとその息子マルコは、1294年に「マガスタル島」に立ち寄り、そこで巨鳥の話を聞いたという。その鳥は、「翼を広げると昼でも暗くなり」、「下が一年中日陰になるほどの巨木に巣を作り」、「怒ると一蹴りでウシをも殺す」という。そしてマルコは、この鳥のものとされる、長さ1メートル以上もある羽根を一枚贈られたという。

この羽根は乾燥させたバショウの葉であったことが後に判明するが、マルコが立ち寄った「マガスタル島」がマダガスカル島だった可能性は高いと考えられている。となれば、そこで語られたという巨鳥のモデルはやはりエピオルニスだったと考えるのは自然なことかも知れない。 (飛べない鳥だったエピオルニスがロックのモデルというのは、若干違和感を感じないでもないが・・・)