1.猫又の姿
2.猫又による災い
3.芝居の中にみる猫又
猫又とは、齢を重ねたネコが変化した恐ろしい化け猫のこと。猫又の尾はふたまたに分かれているといい、そこから猫又という呼び名がついた。
古くは猫又の毛の色は黄色と信じられ、金花猫とも呼ばれたという。
のちの本には純黄色と純黒色の猫又が最もタチの悪いものとする考えもみられる。
山奥に棲み老いて妖力を得たヤマネコは猫又となり、人を食らうと恐れられた。
また都のネコも猫又となれば人を食い、あるいは婦女を犯し病をなしたという。この病を治すには、雌ネコをつかまえて殺せばよいと信じられた。
『明月記』には天福元年(1233年)8月2日、南都に猫又があらわれ、幾人も食い殺したが、最後には打ち殺されたという記述がある。
猫又という化け物は、昔から怪談ものの素材として取り上げられてきた。【名家のお家騒動にからんだ化け猫騒ぎ】はひとつのパターンとして、浄瑠璃や歌舞伎狂言などにみられる。
猫又が登場する話として有名なのは、「鍋島の猫」、「有馬の猫」、「岡崎の猫」などがある。