ダーナ・オシー
人間よりずっと小柄だが美しく、永遠の若さを持っている。
彼らは立派な国を持ち、そこには王も王妃も宮殿も存在している。そして毎日ダンスと音楽に明け暮れ、ときおり王と王妃を先頭に乗馬の行列をつくって人間世界に出かけるという。
5月1日の前夜には彼らの祭があり、人間の美しい娘を花嫁にする為さらってゆく事があるという。
ラナン・シー
1人で暮らす、妖艶な女の妖精。非常に美しく、人間の男を惑わす。
彼女に抱かれると男はどんどんやせ衰えていき、ついには死んでしまう。
しかし一方では詩の女神とも考えられ、彼女に見込まれると、短命だが、素晴らしい詩を残す事ができるといわれている。正体は吸血鬼だという説もある。
ピクシー
赤毛でだんご鼻、身長は30cmほどの陽気な妖精。いたずら好きで、若い娘にちょっかいをだしたり、人間を道に迷わせたりする。夜中、突然ランプの火が消えるのも彼らの仕業だという。
しかし働き者には親切で、とくに台所をきれいに片づける人間には銀貨を残してゆく。「ピクシー」という言葉はスコットランドの先住民族「ピクト」と関係があるのではないかという説もある。
レプラコーン
レプラカーン、レプラホーンとも呼ぶ。身長は1メートルそこそこで、赤いジャケットに半ズボン、頭には三角帽をかぶっている、妖精の中の靴職人。
なぜか片方の靴しか作らないという。地下に隠された金貨の壺のありかを知っていて、うまく捕まえて脅かすとその場所を白状するという。
クルラコーン
やせた老人の姿の小妖精。赤いコートに青い長靴下、銀の留め金のついた靴をはき、パイプを愛用しているおしゃれ好き。大酒飲みで、知らぬ間に酒が盗まれたり減ったりするのは彼らのせいだという。
宝のありかを知っていて、いくら使っても中身が減らない不思議な財布を持っている。一説には、靴作りを終えて飲んだくれたレプラコーンの姿だという。
バンシー
緑のドレスを着た美しい長身の乙女の姿をしているといわれる妖精。地方によってはバウ、ボウアなどと呼ばれる。
ブリテン島では、出っ歯で赤目、鼻の穴が一つしかなく、足にはカエルのような水かきという姿をしているとされる。
沼地に現れ、恐ろしい泣き声をあげて、人間の死を予告する。特に悪さをするわけではなく、赤い目も死者が出る事を悲しんで泣き腫らしたものともいわれる。しかし、人間からは不吉な存在として怖れられた。
バンシーは、その死者の遠い祖先の死霊だという説もある。「バンシー」とはゲール語で「妖精の女」の意。
デュラハン
頭のない不気味な妖精。同じく頭のない馬がひく霊柩馬車に乗り、深夜に出現。そして一気に馬車をとばし、ねらいをつけた家の前で止まる。もしその家の人間が扉を開けたら、桶一杯の血を浴びせられる事になる。
デュラハンが止まった家からは近日中に必ず誰か死者が出るという。たいていの人間はその姿を見る勇気がなく、ただ馬車の音を聞くだけだ。
ウォーター・シェリー
たいまつを持った、赤い服の妖精。天国にも地獄にも行けずにこの世をさまよっている死者の霊といわれ、夜道を行く旅人をまどわして沼地に誘い込む。
よく言う鬼火とか狐火は、このウォーター・シェリーが歩いているのだという。
スラホ
死んだ罪人の霊といわれ、集団で空を飛ぶ。
西の方からやってきて、天国へ行く霊をつかまえて仲間に引きずり込もうとする。このため死者が出た家では西側の窓を全部閉ざして、彼らに霊魂を横取りされないようにしなければならないという。
黒犬(ブラック・ドッグ)
プーラフカ、キャペルウェイト、デビルズ・ダンディ・ドッグ、モーサー・ドッグなどとも呼ばれる。
一見大型の黒犬という感じだが、燃えるような目をしている。口から炎をはき、人間を襲う。
非常に足が速いのか、一瞬のうちに現れたり消えたりする。
プーカ
プッカとも呼ばれる。「獣の精」のポックに由来する。人間の姿をしている時もあるが、たいてい馬やロバなど人が乗れる動物に化けている。
主に夜現れては様々ないたずらをする。例えば、馬に化けて人間を乗せると、あたりかまわず走り回り、朝が来ると人間を置き去りにして消えてしまう。あるいは、夜中に不思議な音を立てて人や家畜を怖がらせたりする。イギリスではパックと呼ばれる。
メロウ
特に定まった姿はなく、その時々で変身する水の妖精。角のない牛、あるいは魚の尻尾を持った人間などの姿で水から上がってくる。
メロウが現れると大風が吹くといわれ、海が荒れるので漁師には嫌われているという。
メロウには男も女もいて、人間に似た姿の女のメロウは非常に美しいといわれている。そのため、女のメロウと人間との恋物語が伝わっている。対して男のメロウは、歯と髪は緑色で、ブタの目、赤い鼻を持つといわれ、美しいとは言い難い。
彼らは特に人間に害を与える事はなく、彼ら独自の社会で生活を営んでいる。
ゴブリン
身長50cmほどの醜い妖精。日本でいう小鬼にあたる存在。「ゴブリン」の語源は、ギリシア語で妖精を意味する「コバロス(KOBALOS)」。
ファー・ゴルタ
やせ衰えた姿の男の妖精。飢饉のときに現れる。国じゅうを物乞いして歩き、物を恵んでくれた者に幸運をもたらすという。
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