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麒麟(きりん)

1.心やさしき麒麟

2.毛蟲の長

3.麒麟の伝説

4.アフリカのキリンと麒麟

1.心やさしき麒麟

中国より伝わる瑞獣。ふつう、姿はクジカに似て、ウシの尾とウマの蹄を持つといわれる。また頭部に角を生やしているが、その先端は肉でおおわれ攻撃には用いない。体からは五色の燐光を発し、腹の下は黄色で、いつも単独で行動するという。

また、麒麟はこれまで一度も転んだことがなく、網や落とし穴などの罠には決してかかることがないといわれている。そして、麒麟を傷付けたり、その死骸に出くわすのは不吉な事とされている。

三才図会』では、この獣の角があるものが雄で、それを麟と呼び、雌を麒と呼ぶ、という。しかし、逆に『瑞応図』では雄が麒、雌が麟とされている。

麒麟はよく西洋のユニコーンと対比される。ユニコーンが狂暴な獣なのに対し、麒麟は非常にやさしい性質で、歩く際も生きた虫や草を踏むまいとするほどだという。そのため麒麟の絵には、つま先立ちしたような姿のものが多い。

麒麟の寿命はふつうで一千年といわれる。


2.毛蟲の長

中国では、動物を羽蟲・毛蟲・甲蟲・鱗蟲・裸蟲の五つに分類し、麒麟は毛蟲(毛のある動物の意)の長とされている。

ちなみに、羽蟲の長は鳳凰、甲蟲の長はカメ、鱗蟲の長は龍、裸蟲の長はヒトとなっている。


3.麒麟の伝説

中国では、王が仁ある政治をおこなう時のみ姿を現すとされ、伝説では漢の武帝の世に麒麟が姿を現したという。武帝はこれを記念して、麒麟閣という御殿を造ったと伝えられる。

また、孔子の母は麒麟の足跡を踏み、それによって孔子を身ごもったと伝えられる。

そのほか、麒麟は将来の聖王を世に遣わすと信じられ、これを「麒麟送子(きりんそうし)」という。そしてここから、才にすぐれ将来を期待される少年のことを指す「麒麟児」という言葉が生まれた。


4.アフリカのキリンと麒麟

アフリカのキリン(ジラフ)がいつからキリンと呼ばれる様になったか?中国では明代のころからアフリカのキリンが紹介されるようになり、麒麟と姿形が似ているという事で同じ名を付けられたらしい。

日本では1907年(明治40年)、キリンが初めて渡来した際に、当時の動物学者石川千代松が定めたとされる。