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ユニコーン

1.狂暴な一角獣

2.ユニコーンの成立

3.実在したユニコーンの角

ユニコーン

1.狂暴な一角獣

一角獣と訳される。その名の通り、一本の長く鋭い角を持つウマのような姿の動物。

博物学者プリニウスによれば、非常に狂暴な動物で、胴体はウマに似ており、頭はシカ、足はゾウ、尾はイノシシで、額の真ん中に黒い角が一本突き出ているといい、生きたまま捕らえることは出来ないという。

一般には、非常に獰猛で気性が荒いが処女にだけは従順になると信じられた。

また、中世ヨーロッパではユニコーンとライオンが敵対しているという俗説が広まっていた。


2.ユニコーンの成立

ユニコーンの成立には聖書が大きな影響を与えたと考えられる。『旧約聖書』の<申命記>や<ヨブ記>にはヘブライ語で”レーム”(二角獣の意)という角を持った動物の力強さが描写されている。

これがギリシア語訳旧約聖書『七十人訳聖書』では一角獣に変わり、さらに『欽定訳聖書』などで誤訳され、次第に力強さと恐ろしさが強調されていった。

ただし、現在では”レーム”とは野生のウシとする解釈が強まり、日本聖書協会発行の『聖書』では”野牛(のうし)”と訳されているという。

1892年に東洋学者シュラーデルが推測したところでは、ペルシアの浅浮彫に描かれたウシの横顔では角が一本だったため、それを見たギリシア人がこの一角獣を思いついたのではないかという。


3.実在したユニコーンの角

ヨーロッパでは近世まで実際にユニコーンの角といわれる物が存在していた。毒の検知あるいは解毒の効果があると信じられ、それを材料とした盃やスプーンが作られたほか、薬として珍重された。

しかしその角の正体は、クジラの一種イッカクのものであった。

毒の検証に用いられたのは、中国でサイの角を毒の検証に用いた風習の影響と思われる。