1.その血は子を蘇らせる
2.キリスト教とペリカン
現在ペリカンと呼ばれている鳥とは別に、中世ヨーロッパで信じられた伝説の鳥のこと。実在のペリカンに比べ、体は小さく、嘴(クチバシ)も短く鋭い。羽の色は黄または緑といわれる。エジプトに棲むと信じられた。
我が子をたいへん愛する鳥で、ヒナがヘビに殺されると、自分の胸を掻きむしり、流れ出た血を浴びせて生き返らせると信じられた。
一説には、ヒナはヘビに殺されるのではなく、親鳥がその嘴と爪で愛撫しすぎるあまり、誤って殺してしまうのだともいわれた。
子のために我が身を犠牲にするこの鳥を、キリスト教徒はイエスとダブらせた。『天堂篇』では「イエス・キリストは人類のペリカン」と表現されている。
ペリカンの姿は、聖職者の紋章に用いられたり、聖杯に彫られたりした。