HOMEへ
幻獣・空想動物
東洋の幻獣・空想動物
世界の幻獣・空想動物
常々草
混沌事典
蔵書寸評
リンク集
掲示板
アンケート
HP内検索
HELP

一つ上に戻る

龍(りゅう)

1.東洋の代表的な聖獣

2.龍の姿

3.龍の性質

4.ワニと龍

5.風水と龍

1.東洋の代表的な聖獣

東洋に伝わる聖獣。一般にワニを細長くしたような姿だとされている。日本では「たつ」とも呼ぶ。

よく西洋のドラゴンと比較されるが、ドラゴンが一般に邪悪なものとされているのに対し、龍は中国で鱗蟲(鱗を持つ生き物)の長といわれるなど神聖視されている。龍が人々の前に姿を現すことは吉兆と考えられた。

ドラゴンが火と結び付けられるのとは対照的に、龍は水に関係が深いと考えられ、日本でも水神として崇められた。

インド神話では、蛇を神格化した人面蛇身の半神とされる。大海や地底に住み、雲雨を自在に支配する力を持つといわれる。仏教では古くから仏伝に現れ、また仏法守護の天竜八部衆の一つとされた。


2.龍の姿

古くは、自在に姿を変化させることができ、可視にも不可視にも思いのままになれるといわれ、春分になれば天に昇り、秋分になれば下って淵に入るとされた。

このようにつかみどころの無かった龍の姿も時代を経ると次第に固まっていき、「頭はラクダ、角はシカ、眼は(一説にウサギ)、耳はウシ、うなじはヘビ、腹は、鱗はコイ、爪はタカ、手はトラに似る」(後漢の文人、王符の説)というようなものになっていった。これを「九似」という。

また龍のプロポーションについては、首から腕の付け根までの長さと、腕の付け根から腰までの長さ、腰から尾までの長さがそれぞれ等しいとされ、これを「三停」と呼んだ。

古来画家は龍を描く場合、この「九似三停」の説によった。

それ以外の特徴として、鱗の数は81枚で、声は銅盤を打ち鳴らしたよう、頬と顎にひげがあり、顎の下には輝く玉を、喉には逆鱗(げきりん:逆さに生えた鱗)を持つといわれる。

そのほか、頭上には尺木(せきぼく)なるでっぱりがあり、これを持たない龍は空を飛べないとされた。

また、龍には色々なタイプがあるとの説も生まれ、天龍、神龍、伏蔵龍、応龍、蛟龍など多くの龍が考えられた。


3.龍の性質

龍の性質について『本草綱目』では、本来は粗暴であるとしている。そして好む物として「美玉」、「空青(銅青石の類)」、「ツバメの肉」を挙げている。逆に嫌うものとして「鉄」、「むつおれ草」、「ムカデ」、「せんだん草」、「五色の糸」を挙げている。


4.ワニと龍

中国の書物の中には「龍を塩漬けにして食べた」(『左伝』)とか、「龍の肉をすしにして食べた」(『博物志』)、「人と闘って殺された龍がいた」(『北夢瑣言』)など、生々しい記述がみられるものもある。

中国にはワニが生息する地域がある。もしかすると、これらの記述には龍とワニを同一視したものが含まれているかもしれない。


5.風水と龍

中国には古くから「気」、「風水」というものがある。世の中の万物はそれぞれにエネルギーを持ち、互いに影響しあい位置関係によって様々なエネルギーの流れを生むというのである。このエネルギーやその流れを「気」といい、エネルギー(気)の流れに関する学問を「風水」という。

万物の中で、ひときわ強大な気を生むとされるのが山脈である。気は山脈の尾根から稜線を走り降り、強力な生産エネルギーの流れを作ると考えられた。風水師らは、この山脈に起こる気の流れを「龍脈」と呼び重要視した。

龍とは、自然界における巨大な気の流れ「龍脈」を具体化したものという側面ももっているのである。