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ドラゴン

1.西洋最強の怪物

2.各地のドラゴン

3.様々な俗信

4.トプセルの分類では・・・

5.D&Dにみるドラゴン

1.西洋最強の怪物

両生・爬虫類のなかで最大最強の動物として西洋に伝わる怪物。今日、一般的にはヘビに似た体に翼を持ち、二足または四足の姿とされている。非常に長命で凶暴、知能も高く魔法を使うものや変身できるものもいるという。

炎を吐くドラゴンの血管には炎の血が流れているとされ、地中や洞窟、水中などに好んで棲むのは高い体温を下げるためだといわれる。

ギリシア人は大きな爬虫類をみつけると、それにしばしばドラゴンの名を与えた。

ドラゴンは様々な物語で人間に立ちはだかる脅威として描かれているが、これはドラゴンが災厄の象徴であることを暗示している。その災厄には洪水、竜巻、溶岩流といった自然現象のほか、ワニや大蛇までもが含まれる。ドラゴンの姿には、実在のワニ及びヘビが投影されている。

ドラゴンが火を吐くところから、17世紀になると大砲などの火器にドラゴンの装飾が施されるようになった。また火器を装備した軍隊を<竜騎兵>と呼ぶようになった。

北欧神話では、英雄シグルトのドラゴン退治が伝えられているほか、ドラゴンの血を飲めば動物と会話が出来るようになるとされている。

キリスト教が各地に広まっていくと、それ以外の信仰は邪教とされた。そして古くから伝わっていた聖獣も悪魔的なものとみなされるようになっていった。現在ドラゴンの一種とされているものには、こういったものも含まれているのである。


ドラゴン

2.各地のドラゴン


エジプトのドラゴン
リビアの町シレーンの近くの大きな沼にドラゴンが棲んでいたという。子供たちは次々と生け贄に差し出され、ついには王女にも生け贄の番がまわってきた。
王女が水辺につながれドラゴンの餌食になろうという時、聖ゲオルギウス(聖ジョージ)が馬で現れ、槍と剣でドラゴンを倒したという。救い出された王女は腰の革紐でドラゴンを縛り、気丈にもそれを町まで引っ張っていったという。
ナイル川周辺にワニが生息した状況を思えば、このドラゴンがワニを指しているとの推測も成り立つだろう。


イスラムのドラゴン
イスラム教に伝わるバハムートも、ドラゴンの一種とも考えられている。
伝説では、神は大地を支えるものとして天使をつくり、その天使を支えるものとしてルビーの岩山をつくり、その岩山を支えるものとしてバハムートをつくったとされている。


インドのドラゴン
インドの<山のドラゴン>を捕らえようとする者は、金文字で呪文が書かれた緋色の服を着なくてはならないそうである。
これはドラゴンが苦手とする金と赤色で幻惑させるためであり、この服を着てドラゴンに近づくと、ドラゴンは眠り始めてしまう。
そこでさらにまじないを口にして完全に眠らせ、斧で首を切り落とすのだという。


マケドニアのドラゴン
あるマケドニアの女性は、ドラゴンを子供同様に育てていたという。まるでイヌのようになつき、夜は一緒の寝床で眠ったと伝えられる。


エチオピアのドラゴン
エチオピアのドラゴンは、より良い草地を求めて定期的に紅海を渡り、アラビアへ移動するという。


ドラゴン

3.様々な俗信

プリニウスは『博物誌』で、「ドラゴンは夏になるとゾウの血を飲みたがる」といっている。

体温の高いドラゴンがゾウの血(とても冷たいと信じられていた)で体温を下げようとするからだが、いざドラゴンがゾウを襲うと、倒れたゾウの下敷きになってドラゴンも圧死してしまうのだとされた。

こういった俗信から、中世以降のヨーロッパにはドラゴンとゾウが闘う図版が広まった。図版の寓意は「相討ち」である。

ほかに、ドラゴンが薬になるとの俗説が広まり、プリニウスも「乾燥させたドラゴンの目玉をハチミツに混ぜると、悪夢に効く薬になる」と記している。

プリニウスはその他にも、

  • 訴訟に必ず勝つには、ドラゴンの心臓の脂をガゼルの皮に入れ、雄ジカの筋で腕にくくり付けておくと良い
  • 王の慈悲や主人の寵愛を得たいなら、ドラゴンの歯を身に付けていると良い
  • 人間を無敵にする薬の原料として、ライオンの皮と骨髄、競馬で勝った直後のウマの泡、イヌの爪、ドラゴンの尾と頭が必要
などの説を伝えている。

ドラゴン

4.トプセルの分類では・・・

トプセルは自著『爬虫類の歴史』のなかで、ドラゴンを以下の四種に分類した。

  1. 四足のもの
  2. 翼と一対の足を持つもの=【ワイバーン】
  3. 翼を持つが足の無いもの=【ワイアーム】
  4. 翼も足も持たぬもの(ヘビと違ってトサカや顎下の喉袋などがある)=【ストーアウォーム】

そして足を持つタイプは谷間に、足の無いタイプは洞窟に棲む、と述べている。

 

5.D&Dにみるドラゴン

西洋に伝わる妖精や幻獣などの伝承を下敷きにして書かれたファンタジー小説に『指輪物語』がある。この『指輪物語』は大変な人気を呼び、この世界観をもとに『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(略してD&D)というTRPGが発売された。

このゲーム中で、ドラゴンは最強のモンスターとされ、種類による性格や攻撃能力の違いがはっきりと設定されている。各種のドラゴンは大まかに以下のように性格付けられている。


■ブラック・ドラゴン(BLACK DRAGON)
体色は黒。湿地帯に生息する。
邪悪で狂暴。強酸を吐く。

■ブルー・ドラゴン(BLUE DRAGON)
体色は青。乾燥地帯に生息する。
おとなしいが悪の心を持つ。電光を吐く。

■ブラス・ドラゴン(BRASS DRAGON)
体色は真鍮色。砂漠の洞穴に生息する。
性格は荒いが善の心を持つ。催眠効果のあるガスを吐く。

■ブロンズ・ドラゴン(BRONZE DRAGON)
体色は青銅色。海のそばの洞穴に生息する。
温厚で善の心を持つ。電光と、敵の戦意を喪失させるガスを吐く。

■カッパー・ドラゴン(COPPER DRAGON)
体色は銅色。岩山などに生息する。
性格は荒いが善の心を持つ。敵の動きを遅くするガスを吐く。

■ゴールド・ドラゴン(GOLD DRAGON)
体色は金色。高山に生息する。
温厚で善の心を持つ。塩素ガスと炎を吐く。

■グリーン・ドラゴン(GREEN DRAGON)
体色は緑。森林地帯などに生息する。
おとなしいが悪の心を持つ。塩素ガスを吐く。

■プラチナ・ドラゴン(PLATINUM DRAGON)
体色は白金色。温厚で善の心を持つ。
冷気や熱など数種のブレスを使いこなす。

■レッド・ドラゴン(RED DRAGON)
体色は赤。岩山の地下などに生息する。
狂暴で悪の心を持つ。炎を吐く。

■シルバー・ドラゴン(SILVER DRAGON)
体色は銀色。山頂などの高所に生息する。
温厚で善の心を持つ。体を麻痺させるガスと冷凍ガスを吐く。

■ホワイト・ドラゴン(WHITE DRAGON)
体色は白。寒冷地に生息する。
狂暴で悪の心を持つ。冷凍ガスを吐く。

■クロマティック・ドラゴン(CHROMATIC DRAGON)
5つの頭を持ったドラゴン。
頭はそれぞれ白、黒、緑、青、赤という色で、攻撃方法は各色のドラゴンに同じ。
おとなしいが悪の心を持っている。