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オオウミガラス

【Great Auk】

◆飛べなかった「白い頭」

北大西洋には、空は飛べないが海を上手に泳ぐことの出来る鳥が生息していた。オオウミガラスというその鳥は、太った体で陸をヨチヨチと歩き、人間を恐れることが無かったという。

古くからニューファンドランド沖にまで出漁していたブリタニア人は、このオオウミガラスを「ペン・グウィン pen-gwyn」と呼んでいた。これは「白い頭」という意味の古代ケルト語で、オオウミガラスの頭部に見られる白い斑点のことを指していたという。

しかし学名が付けられる段になると「ペンギン penguinus」というラテン語があてられた。これは「太った鳥」という意味であり、学者にとっては頭の斑点よりも太った体のほうが印象的だったのだろう。

オオウミガラスのしばらく後に、よく似た鳥が南半球でも発見され、それもペンギンと呼ばれるようになった。現在我々が水族館などで見ることが出来るペンギンのことである。対して元祖ペンギンともいえるオオウミガラスは乱獲により絶滅し、もはや我々が生きた姿を見ることは無い。

◆乱獲のはじまり

1534年、フランスの探検家J.カルチェが北アメリカの北東部に位置するニューファンドランド島に上陸した。彼らは島にいたオオウミガラスから羽毛とおいしい卵を奪うことを覚え、親鳥を手当り次第に殴り殺した。その数は一日に1000羽にも上ったという。

まもなくヨーロッパ中にこの話が伝わると、羽毛と卵を求める業者らが大挙して押し寄せるようになり、親鳥を殺しては巣から卵を奪うという行為が毎年繰り返されるようになった。

当初は数百万羽もいたといわれるオオウミガラスも次第にその生息数を減らし、1820年頃になるとアイスランド沖の「ウミガラス岩礁」と呼ばれる小島で繁殖するのみとなっていた。

それでも人々は、まだ何所かにたくさんいるはずだと考え、狩りを止めることはなかった。

◆繁殖地の壊滅、そして絶滅

1830年、オオウミガラスに残された唯一の繁殖地「ウミガラス岩礁」は大噴火を起こし、激しい地震の後、海中に沈んだ。かろうじて生き延びた50羽ほどが、近くのさらに小さな岩礁「エルディ」に移動した。

しかし目に見えて生息数が減ったオオウミガラスは、貴重な標本を求める博物館のせいで、よりいっそう捕獲業者たちに付け狙われることになった。

そして1844年6月3日(あるいは4日ともいわれる)、エルディに上陸した3人の捕獲者が2羽のオオウミガラスを見つけ、1羽を殴り殺し、もう1羽を絞め殺した。残された卵があったが、すでに殻は割れていた。捕獲者はその卵を手に取ると、岩の上に投げ捨てたという。

この日を最後に、オオウミガラスは地上から姿を消した。


オオウミガラス

《分類》

  • チドリ目ウミスズメ科。

《形態》

  • 体長約80cm、体重5kg
  • 頭部から背にかけて暗褐色で、腹は白い。眼と嘴のあいだに卵形の白斑がある。
  • 翼は20cmほどに退化している。

《生態》

  • 北大西洋に生息。大きな集団を作り、海の上で暮らしていた。
  • 飛ぶことは出来ず、陸上では直立してヨチヨチと歩いたが、海中では小さな翼を羽ばたかせて高速で泳ぐことが出来た。
  • 魚類やイカ類を捕らえて食べていた。
  • 6月頃に大群で上陸し、断崖や岩礁などに卵を産んでヒナを育てた。卵は一度に1個で、大した巣づくりはせずに岩の上に直接産んだ。
  • オスとメスが交代で6〜7週間ほど抱卵し、ヒナを孵した。