HOMEへ
絶滅動物
絶滅を考える
絶滅した動物たち
常々草
混沌事典
蔵書寸評
リンク集
掲示板
アンケート
サイト内検索
HELP
一つ上に戻る

ニホンオオカミ

【JAPANESE WOLF】

◆農耕の守護者、絶滅へ

西洋では家畜を襲うため嫌われたオオカミだが、日本では古くから作物を食い荒らすイノシシやシカを退治する農耕の守護者として、「大口の真神(おおくちのまがみ)」などと称されて崇められてきた。

しかし次第に数を減らしていき、1905年に奈良県で捕まった1頭を最後に絶滅してしまった。絶滅の原因としては、輸入されたイヌからジステンパーが流行した事、エサとなるシカが減少した事、などが挙げられている。

また文献によれば、1732年(享保17)頃に狂犬病が流行したといい、この時ニホンオオカミのあいだにも広がったと考えられている。病気のオオカミが人間を襲うケースが次第に増えていき、それまでの神格は徐々に失われていった。

1900年頃には日本中のオオカミに病気が蔓延していたものと推察される。

◆数少ない資料

1905年、最後のニホンオオカミが奈良県鷲家口で猟師によって捕らえられた。現在「ワシカグチオオカミ」と呼ばれるこの若いオスの個体は、大英博物館に仮剥製と頭骨がある。

またオランダのライデン王立博物館には、シーボルトが採集した剥製1体と頭骨2点が所蔵されている。

日本国内では、頭骨は20点以上あるというが、全身標本となると国立科学博物館に1体、東京大学農学部に1体、和歌山大学に1体と、計3体しか残っていない。

◆続く目撃証言

1905年以降は捕獲例がなく絶滅したとされているが、ニホンオオカミらしき動物の目撃は時折報告されている。

最近の例では、1996年10月に埼玉県の秩父山中で、また2000年7月に九州中部の山中で、それらしき動物が写真撮影されている。

絶滅に至った原因がはっきりしないこともあり、生き残っている可能性もゼロとはいえないようである。

ニホンオオカミ(ヤマイヌ、ホンドオオカミ)

《分類》

  • 食肉目イヌ科。

《形態》

  • 体長95〜114cm、尾長30cm、肩高約55cm。
  • オオカミの中で最小の種の一つ。他のオオカミより、四肢と耳介が特に短い。(日本在来のイヌよりは長い)
  • 体毛は長く、タン色を帯びたベージュ色で、頸・背・体側・尾の毛は先端がわずかに黒い。
  • 上下唇と頬は白色に近い。耳介後面は赤茶色で前膊下部前面に焦茶色の斑紋がある。
  • 頭骨は短小で吻が広い。

《生態》

  • ほとんど不明のうちに絶滅したため、世間一般に伝えられる話から知るしかない。
  • 本州、四国、九州に生息。
  • 昼間も活動する薄明性で、2〜6頭ほどで群れを作り人里にも姿を現す。
  • 主食はシカで、群れで狩りをした。
  • 岩穴などを巣とし、一度に3頭ほどの子を産む。
  • 縄張りに人間が侵入すると、外に出るまであとを尾けてくる。(送りオオカミの習性)