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フクロオオカミ

【TASMANIAN WOLF or THYLACINE】

◆3万年前、最初の危機

通称タスマニアタイガーともいうフクロオオカミは、古くはタスマニアのほかニューギニアやオーストラリア本土にも生息しており、生態的に最も高い地位を占めていた。しかし約3万年前、オーストラリア区に北から人類(と、おそらくディンゴ)が移ってくると、生態的地位の競合が起こった。

ヒトやディンゴとエサを奪い合うこととなったフクロオオカミは次第に数を減らしていき、はじめニューギニアから、次にオーストラリア本土からその姿を消してしまった。

フクロオオカミは、ディンゴが入らなかったタスマニアにのみ生き残ることとなった。

◆虐殺、そして絶滅へ

しかし、1770年にイギリスの探検家キャプテン・クックがオーストラリアに上陸して以後、ヨーロッパ移民がオーストラリア本土はもちろん、タスマニアにも渡ってくることとなり環境が変化した。

19世紀、移民たちが導入した家畜をフクロオオカミが襲うようになったため、フクロオオカミは”ハイエナ”と呼ばれ目の敵にされた。1888年からは政府もフクロオオカミの駆除を奨励し、1909年までの22年間懸賞金がつけられ、虐殺が行われた。このとき人々はただ殺すだけではおさまらず、全身を打ちのめし粉砕したという。(原形を留めぬ殺し方であったため、フクロオオカミの科学的資料は現在ほとんど残されていない)

1930年に野生で最後とおもわれる1頭が射殺され、翌年ロンドン動物園で飼われていた1頭が死んだ。絶滅かと思われたが、1933年新たに1頭が捕獲されホバート動物園で飼育された。

それ以後捕獲の記録はなく、1936年にホバート動物園の1頭が死んだのを最後に絶滅したものと考えられている。

◆その後の目撃証言

フクロオオカミは1936年以降捕獲例がなく、絶滅したとされているが、こと目撃例となると決して少なくはない。

まず1937年に目撃者が現れて、フクロオオカミは翌年に保護獣の指定を受けている。また1946年にはタスマニア西部のコリンウッド川でそれらしい足跡が発見されている。さらに1957年と1960年にも目撃され、保護区が設定された。

そのほかオーストラリアでも、「タイガーキャット」と呼ばれる、フクロオオカミによく似た肉食動物の目撃が続いているという。

近年もそれらしい目撃が続いているため、まだ生き残っているのではないかと考える研究者は少なくない。

フクロオオカミ(タスマニアオオカミ)

《分類》

  • 有袋目フクロオオカミ科。

《形態》

  • 体長100〜130cm、肩高60cm。
  • 頭骨や歯などイヌ科動物に似るが、腰から尻、尾はカンガルーに似る。
  • メスの育児嚢はカンガルーほど発達しておらず、入口はタスマニアデビルなどと同じく後方を向く。

《生態》

  • 有袋類の中でオオカミの生態的地位を獲得していた肉食動物。
  • 古くはタスマニアのほか、ニューギニアやオーストラリア本土にも生息していた。
  • 夜行性で、ワラビーなどの小形カンガルーを主な獲物としていた。