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ステラーダイカイギュウ

【STELLER'S SEA COW】

◆無人島で発見される

1741年11月、8年にも及ぶ北アメリカ沿岸の調査を行っていたロシアのセント・ピーター号(船長はベーリング)は、乗員たちが壊血病にかかったため、カムチャツカ半島のペトロパブロフスク港へ帰ろうとしていた。しかしコマンドル諸島まで達したころ嵐に遭い、無人島(今のベーリング島)で座礁してしまった。

彼らはその島で、食料となる巨大なカイギュウを発見した。壊血病の乗員は次々と死に、ついには船長ベーリングも亡くなったが、生き残った者は医師兼動物担当者G・ステラー(1709〜1746)の指揮のもと新たにボートを作り、10ヶ月かけてペトロパブロフスク港へ帰りついた。

そしてステラーによって、ラッコやオットセイ、メガネウなどと共にこの巨大なカイギュウ、のちのステラーダイカイギュウは報告された。

◆27年後、あっというまの絶滅

ステラーの報告で知られることとなったステラーダイカイギュウは、その肉と脂肪、毛皮をハンターらに狙われる事となった。

ステラーダイカイギュウは敵に対して無防備で、ハンターに襲われてもただ海底にうずくまるだけだったという。それどころか仲間が殺されると、それを助けようと集まってくる習性があったといわれる。格好の獲物となったステラーダイカイギュウは、捕鯨船乗組員の食料として、あるいは毛皮の原料として乱獲され、またたくまにその数を減少させていった。

発見当初、約2000頭と報告されたステラーダイカイギュウは、1768年に島に渡ったイワン・ポポフの「まだカイギュウが2、3頭残っていたので殺した」という記録を最後に絶滅してしまった。

もともと生息数が少なかったところに人間が追い討ちをかけ、絶滅に至ったものと考えられている。

◆まだ生き残っている?

絶滅したとされるステラーダイカイギュウだが、1780年には1頭捕獲されたらしいし、1854年にも目撃例があるという。また20世紀においても1962年7月のベーリング海で、ソ連の科学者によって6頭のそれらしき巨大な海獣が観察されている。

この巨体の持ち主は、まだ海のどこかで細々と生き続けているのかもしれない。

ステラーダイカイギュウ

《分類》

  • 海牛目ダイカイギュウ科。(以前はジュゴン科だったが、その後の研究で現在ダイカイギュウ科に分類されている)

《形態》

  • 全長7.5〜9m、体重4t以上。
  • 同じ海牛目のジュゴンやマナティには存在する歯が退化しており、かわりに突起が並んだ板状の角質で海藻をすりつぶして食べていた。
  • ジュゴンやクジラなどにもある指の骨が、なくなっている。

《生態》

  • ベーリング島とコパー島の周辺の浅瀬に群れで生息し、コンブなどの海藻を食べていた。
  • 年1回の繁殖で、一度に1頭の子を生んだと考えられる。
  • おとなしい性質で、敵に対しても無防備。