海上保安庁は2日、八代海南部の海底で、直径50メートル、高さ約5メートルの円形の丘が80個近く密集する世界でも珍しい海丘群を発見したと発表した。海丘は形も大きさもほぼ同じで、表面は貝類でびっしりと覆われているが「いつ、どのように形成されたのか不明」(海洋調査課)という。
海丘群が見つかったのは、熊本県水俣市から西南西約10キロにある水深約30メートルの海域。平たんな海底から盛り上がるように海丘が次々と出現し、北西‐南東方向に約3キロにわたって並ぶ。海図作成のため近海を音波で探査していた第10管区海上保安本部の測量船が発見した。
潜水調査したところ、海丘自体は砂や泥で構成され、その表面をカキなどの貝類が覆っていた。周辺の平たん部には貝がほとんど生息しておらず「貝で固めた円形の古墳が並んでいるようなイメージ」(同)。
海上保安庁によると、旧日本海軍が1913年に作成した八代海の海図にも海丘群に似た記述がある。船の航行などに支障はなく、専門家は「水流の影響で丘が形成され、集まったプランクトンを食べに貝が集まったのではないか」と推測している。